築30年のマンション で初めて屋上防水をする場合の注意点

築30年のマンションで初めて屋上防水工事を行う場合、下地の劣化がかなり進んでいる可能性が高いため、既存の防水層を完全に撤去する「撤去工法(通称:アスファルト防水改修または塩ビシート防水改修など)」、あるいは下地の影響を受けにくい「絶縁工法(ウレタン防水通気緩衝工法、または塩ビシート機械固定工法)」を選択するのが標準的な工事仕様となります。
30年間一度も防水改修をしていない場合、既存の防水層(新築時は通常アスファルト防水)の下に大量の水分が溜まっていたり、コンクリート下地自体に大きなひび割れや爆裂(鉄筋のサビによるコンクリートの破壊)が発生しているリスクが非常に高いため、慎重な仕様選定が必要です。
 
1. 推奨される工事仕様(工法)
築30年初改修の場合、既存の防水層の上からそのまま新しい防水を塗る「密着工法」は、下地の水分による膨れやひび割れを再発させるため原則NGです。 
工法名(仕様)  施工の特徴 メリット デメリット・注意点
アスファルト防水
(撤去工法)
既存の古い防水層をすべて剥がし、新築時と同等以上の強固なアスファルト防水層を再構築する仕様。 ・最も耐久性が高い(15〜25年)
・下地の劣化状態を直接目視して確実に補修できる。
・撤去時の騒音や振動が大きい
・廃材が出るため工事費用が最も高額。
塩ビシート防水
(機械固定工法/絶縁工法)
既存の防水層を撤去せず(または部分補修し)、下地と密着させないシートをディスク板で機械固定する仕様。 ・下地が含んでいる水分やひび割れの影響を受けない
・撤去費用を抑えられ、工期が短い。
・屋上に室外機や架台などの障害物が多い場合は施工が難しい
・歩行頻度が高い屋上には不向き。
ウレタン塗膜防水
(通気緩衝工法/絶縁工法)
通気性のあるシートを敷いた上から、液体状のウレタン樹脂を何層も塗り重ねる仕様。脱気筒から下地の湿気を逃がす。 ・複雑な形状の屋上や、室外機などの障害物が多くても施工可能
・つなぎ目のない美しい仕上がり。
・職人の技術力によって品質にバラつきが出やすい
・定期的なトップコート(保護塗装)の塗り替えが必要。

2. 仕様に必ず含めるべき「下地補修」の項目
築30年の初防水では、防水層を載せる前の「下地調整(補修)」が工事の成否を分けます。見積書や仕様書に以下の項目が適切に含まれているか必ず確認してください。
  • コンクリート爆裂・欠損補修:内部鉄筋のサビによるコンクリートのひび割れや剥離を削り落とし、防錆処理をしてモルタルで埋め戻す工程。
  • クラック(ひび割れ)注入:下地に走るひび割れにエポキシ樹脂などを注入し、建物の動きによる漏水を防ぐ工程。
  • 入隅(いりずみ)の面取り:床と立ち上がりの壁が交わる角をなだらかにし、防水シートや塗膜が破れるのを防ぐ処理。
  • 改修用ドレン(排水口)の設置:最も雨漏りしやすい排水口まわりには、既存の配管の内側に新しい鉛製のドレン管を差し込む「改修用ドレン」の設置が必須。 
  • 脱気筒(だっきとう)の設置:下地コンクリートに溜まった30年分の水分を蒸発させて外に逃がすための換気筒。これが無いと、施工後に防水層が風船のように膨れて破裂します。 

3. 工事仕様を決定するまでの進め方
  1. 専門業者による劣化診断
    • まずは、コンクリートの水分量や浮き、漏水の有無を専門業者や一級建築士に調査依頼うる
  2. 屋上の形状と用途の確認
    • 「平坦で障害物が少ない」かつ「住民は出入りしない」なら塩ビシート防水(機械固定)がコストパフォーマンスに優れます
    • 「室外機や設備配管が大量にある」ならウレタン防水(通気緩衝)の一択になります 
  3. 複数社からの「相見積もり」
    • 管理会社に任せきりにせず、防水専門の施工会社を含めた数社から見積もりを取り寄せてください
    • その際、「通気緩衝工法」または「機械固定工法」などの「絶縁工法」で指定して見積もりを依頼すると比較しやすくなります。 
現在の屋上の具体的な状況(床面に緑色の苔が生えている、すでに雨漏りしている、室外機などの障害物が多いなど)を教えていただけますか?より適した工法の絞り込みや、費用を抑えるためのアドバイスをご案内できます。
 
 
 
 

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